歯磨き

 皆さんは、どんな硬さの歯ブラシを使っておられますか。私は、若いときは「ふつう」や「かため」を使っていましたが、10年前から「やわらかめ」に切り替えました。

 横浜に住んでいたときのことです。治療費が非常に安いと聞き、川崎の歯科大学でインターン学生から治療を受けました。私の担当者は笑顔のとても素敵な女性で、親切にいろんなことを教えてくれ、またその実証もしてくれました。初々しくて、一生懸命で、学んだことを教えたい盛りなのでしょう。あるとき、歯の磨き方を教わりました。もちろん家で歯を磨いてきていましたが、いかに磨き残しがあるかを試薬を使って見せてくれました。「毛先にかける力は200gほどでいいんですよ」と、実際にそれがどの程度なのか、歯ぐきに当たる感触を体験させてもらいました。頼りないくらいの圧力ですが、彼女の指示通りに磨くと、試薬はきれいに磨けていることを示したのです。しかも、歯ブラシは「やわらかめ」でした。

 驚く私に、「歯だけはなく、歯ぐきも磨くんです。歯ぐきがしっかりし、歯槽膿漏の予防にもなりますよ。舌の表面のコケも磨いてください。そのためにも柔らかめがいいんです」と、ニコニコしていました。以来、力を入れてごしごし磨くのを止め、200gの感触を思い出しながら、彼女に感謝しつつ「やわらかめ」で磨くようになりました。

 人の心を磨くのも、やはり「やわらかめ」がいいと聖書は教えます。「私パウロは、キリストの柔和と寛容をもって、あなたがたにお勧めします」(?コリ10・1)と、パウロはキリストから教わった「やわらかめ」で人を導いています。「もしだれかが過ちに陥ったなら、御霊の人であるあなたがたは、柔和な心でその人を正してあげなさい」(ガラ6・1)とも。

 *でも、「歯垢」がたまれば、歯科医に行って研ぎ落としてもらうほかありません。心のひだに垢をためないようにしましょう。