光の復旧

イエス・キリストがお生まれになった正確な日はわかりません。でも、分らなくてもいいのです。重要なのは神の子が私たちを闇から救い出すために人となって来られたという事実であり、それを記念し、感謝し、祝い、喜ぶことです。太陽の光が北半球から最も遠ざかった寒くて暗い冬の日に、主の御降誕をお祝いするのは幸いなことです。

聖書はキリストの出現に日をこう表現しています。「暗闇に座っていた民は偉大な光を見、死の地と死の陰に座っていた人々に光が上った」(マタイ4・16)。人生には4つの闇があります。孤独、空虚感、心の疚しさ、死の恐怖です。この闇の中に、悲しみと苦しみがあり、怒り、憎しみ、争い、絶望があるのです。これが人間の現実です。しかし、この闇に気づいている人は幸いです。光を求めるからです。

 記録的な大雪で、新潟は36時間停電になりました。現代は、電気を失えば光も熱も音も失います。夜は、本当は恐ろしいほど暗く寒く静かなんだということを思い知らされ、誰もが復旧を待ち望んだことでしょう。でも、何もせずに自動的に切れた電線がつながるわけではありません。誰かがそこに出かけていかなければなりません。テレビは、真夜中、鉄塔の上で吹雪にさらされながら作業をする電力会社の従業員の姿を映し出していました。

キリストは、私たちの孤独、空虚感、心の疚しさ、死への恐れという闇を追い払う光です。クリスマスはその光に出会う日です。一度、夜に電気を消して、自分の心の現実を省みてください。その心にキリストをお迎えすることこそ、クリスマスにふさわしいのです。

キリストは自らの命を犠牲にし、神と私たちがつながるようにしてくださいました。いわば霊的な命の復旧です。今日のクリスマス、光と命が戻った喜びと感謝を心から表したいと思います。