青信号だけを渡る

 世間を騒がせて、あっという間に消えてしまった感のある村上ファンドの村上氏。株投資遊びを始めたのは小学4年のときで、父親から100万円をもらい、父親が晩酌に飲んでいたサッポロビールの証券を買ったそうです。後はエリートコースを進み、証券市場のことを一番良く知っているのは自分であると豪語するまでになりました。

 彼は逮捕される直前、マスコミ相手に、「ルールの中で、お金を儲けることの何が悪いんですか」と絶叫していましたが、私は大声で「悪い!」と一喝したいところでした。人間たるもの、「・・・して何が悪い」という言い方でしか肯定できないような人生を歩んではならないのです。そんな言い訳がましい生き方ではなく、「・・することは素晴らしい」という生き方であるべきです。「ルールの中でお金を儲けることの何が悪い」というのは、人生にゴールのない人の弁解です。

 交通ルールでは、信号が黄色になれば止まる準備をし、赤に変われば止まらなければなりません。黄色は注意して突っ込めという意味ではありません。しかし、黄色で入っても捕まりません。たいていの運転手は、黄色で進むことはルール内と思っています。やがて、赤への変わり目でも交差点に入ります。それを繰り返していると、いつかは事故を起こすことになります。

 ライブドアの堀江貴文氏は、「黄色信号で渡る」ような金の運用をしていたといいます。村上氏もそうでした。彼らはルールを破ってはいないが、光の中で正しいことを堂々としているという確信がない人たちでした。そして、ついに赤信号を渡ってしまったのです。

 「正義によって得たわずかなものは、不正によって得た多くの収穫にまさる」(箴言16・8)ことを忘れてはなりません。常に青信号だけを渡る人生を生きましょう。黄色信号を渡りなれた人生は、いつか赤信号を渡りたくなります。