笑顔で警告

サッカーW杯たけなわですが、日本から参加しているのは選手だけではありません。二人の審判も参加しています。その一人上川徹さんは、まずはポーランド−エクアドル戦を主審として裁き、正確なジャッジをしたと英国BBCのコメンテーターから絶賛されていました。

 審判にもW杯参加のための国際的な選考基準があります。その基準をクリアして2大会連続で選ばれた上川さんの理想は、選手がプレーに集中し、審判は笛を一度も吹かなくていいゲームです。笛を吹くのは、選手がファール(違反)をおかした場合ですが、エキサイトしやすいサッカーではファールはつきもので、荒れた試合では50回を超えることもあります。上川さんは、エキサイトする選手を鎮め、ゲームが流れるように進み、試合が荒れないようにするために工夫をしてきました。

 功を奏したのが笑顔です。笛を吹かれて「ファールしていない」という表情で興奮する選手に、笑顔で注意したりイエローカードを出したりするのです。柔和な笑顔は相手を穏やかにさせます。また、伝染します。上川さんが笑顔で審判を務めたゲームでは、笛を吹く場面が12、3回に減りました。

 厳しい場面でこそ微笑で臨むことに努めてみてください。余計な争いや人間関係のトラブルが減ると思います。

 昔、アメリカで車を運転していて、バイクの警察官に止められました。警察官はニコニコしながら近づいてきます。私は誉められるのかと一瞬錯覚したぐらいの爽やかな笑顔です。「左折禁止違反ですね」と穏やかに告げられました。罰金を言い渡されましたが、捕まった気がしませんでした。