四つの闇

  クリスマスとは、イエス・キリストの誕生をお祝いする日です。といっても12月25日が正確な誕生日なのではありません。別にイエス様がお生まれになった日が特定できなくてもいいのです。大切なのは、神の子イエスが私たちを暗闇から救い出すために人となってこの地上に来られたという事実です。そしてそのことを記念し、感謝し、お祝いすることです。太陽の光が北半球から最も遠ざかった寒くて暗い冬の日に、救い主の誕生をお祝いするのはすてきなことだと思います。
聖書はキリストがこの世に来られたことをこう表現しています。

「暗闇に座っていた民は偉大な光を見、死の地と死の陰に座っていた人々に光が上った。」

人生には4つの闇があります。それは孤独、空虚感、心の疚しさ、死の恐怖です。この暗闇の中に、悲しみがあり、苦しみがあり、怒り、憎しみ、嫉妬、絶望があるのです。これが人間の現実です。しかし、この闇に気づいている人は幸いです。光を求めるからです。

一家団欒の夕べ、突然停電になったと想像して見てください。一瞬にして真っ暗になります。テレビがプツンと消えます。CDの音楽もやみます。暖房も止まり、部屋の空気は冷えていきます。隣の人が見えなくなります。私たちは光と声の中で暖かく暮らしていると思っていますが、それは錯覚です。実は、冷えきった真っ暗闇の中の孤独こそが私たちが置かれている現実なのです。そして、この現実に気づくことが大切なのです。偽りの光が消えた中ではじめて、本物の光と出会うことができるからです。

キリストはまことの光です。孤独、空虚感、心の疚しさ、死への恐れという闇を追い払う「偉大な光」です。クリスマスとはこの光に出会う日です。一度、真夜中に電気を消して静まり、自分の心の現実を省みてください。その心にキリストをお迎えすることはクリスマスにふさわしいことです。

この一年、どれだけ思いを尽くし力を尽くして主を愛したか。どれだけ自分と同じように隣り人を愛したか。どれだけ祈り、聖書を読んだか。どれだけ自分に与えられた分に対して忠実であったか。皆さんは自分をどのように評価されるでしょうか。忍耐を尽くされた方もおられるでしょう。気が滅入ってなお自分を鞭叩いてなすべき事をなしてこられた方もおられるでしょう。悲しみや孤独に耐えた方もおられるでしょう。

(2004-12-12)