今日は宗教改革記念日です。1517年10月31日、ルターがドイツのウィッテンベルグの教会に95か条の意見書を掲げたことが発端になりました。私たちは宗教改革の伝統を受け継ぐプロテスタントですが、それはローマ・カトリックの「教会が教えることが真理であり、最終的権威はローマ法王にある」という立場に抗議(プロテスト)する者という意味をもっています。
今日はプロテスタント信仰の原点を思い起こしましょう。基本的に次の5つです。
1.聖書のみ・・・聖書だけが真理の権威
2.キリストのみ・・・救いはキリストの十字架のみ
3.信仰のみ・・・行いではなく信仰によってのみ救われる
4.万民祭司・・・聖職者と信徒の差別はなく、神の前に平等
5.職業召命・・・職は神の栄光を現すべく神から与えられた。職に差別なし
ルターはウォルムズの帝国議会に召喚された時、友人たちは「命が危い」と止めましたが、「たとえ屋根瓦の数ほどの悪魔がいても、私はウォルムズに行く」と議会に乗り込みました。皇帝、ドイツ諸侯、教皇庁使節など聖俗の高官の前で、ルターは自分の立場を撤回するように命じられましたが、「聖書の証拠と正当な論議によって私を反駁しなさい」と、その圧力に屈しませんでした。その時彼が残した言葉が、「私はここに立つ。主よ、助けたまえ」です。貧しい農民出身の修道僧が皇帝や教皇庁を相手にただひとりで立ち向かい、真理に堅く立ち続けたのです。
ルターのこの信仰と勇気がなかったら、今日の教会はなかったかもしれません。トーマス・カーライルは、この時が「近世史の最大場面であり、それ以後の全文明史の源になった」と述べています。
(2004-10-31)