ユダヤの教育法に、「大きな声を出して朗読する」というのがありました。イエス様の時代、ユダヤ人のどの家庭にも、聖書の巻物があるというわけではなく、学習は記憶中心でした。聖書はシナゴグ(会堂)で覚えたようで、その側を通ると、聖書を唱える子どもたちの声がよく響いていました。それを「子どものさえずり」と呼びました。子供たちは、小さな声ではなく、大声で朗読するように命じられていたのです。それが、「忘れる危険を克服する唯一の方法」でした。それゆえ、当時、ほぼ全員が聖書をほとんど暗記していました。聖書を知らない子どもは皆無に近かったといいます。
キリスト教神学者ヒエロニムス(342~420)はベツレヘムに住んでヘブライ語を習得し、聖書をヘブライ語からラテン語に翻訳した人ですが、こんな証言を残しています。「(ベツレヘムには)アダム(創世記)からゼルバベル(エズラ、ネヘミヤ記)までの歴史を記憶していない子どもはいない」。(河合一充編著『ユダヤ人イエスの福音』ミルトス)。
そこで、毎日3分は聖書を声に出して読む習慣をつけることをお勧めします。1年やり続ければ、あなたの霊性と脳はまちがいなく活性化します。子どもがいる家庭はぜひ実践してみてください。
礼拝の中で、詩篇やイザヤ書などから斉唱する時間をとっていますが、一語一語歯切れよく意識して発音し、覚えるつもりで声に出してみてください。この時間は、内容を心に留めるだけではなく、覚えるためにも、設けているのです。
覚えた聖句の中から、適切なときに、適切な御言葉を生かして用いるのは、聖霊の働きです。ただ聖句を覚えても、聖霊の導きを求めなければ、宝の持ち腐れになります。しかし、覚えてもいない聖句を聖霊が引き出してくださることも、まずありません。
記憶力が衰えて覚えられない? だからといって、聖書の朗読を止めないでください。朗読しているときに、聖霊が霊的なひらめきを起こしてくださいます。