豊臣秀吉の相談役、曾呂利新左衛門(ソロリシンザエモン)をご存知でしょうか。落語家の祖とも言われ、機転の利く頓知で人を笑わせたそうです。たとえば、秀吉の前でおならをして笏で叩かれたとき、即座にこんな歌を詠みました。「おならして国二ヶ国を得たりけり 頭はりま(播磨)に 尻はびっちう(備中)」。
あるとき、秀吉から「褒美をやる。何が欲しいか」と聞かれ、新左衛門は「今日は米1粒でけっこうです。しかし、明日は2粒、明後日は4粒というよう、一日ごとに倍々していき、100日間いただきたく存じます」と答えました。「なんだ、そんなことか」と秀吉は承知しましたが、しばらくしてそれがとんでもない数字になることに気づき、別の褒美に変えさせました。というのも、100日後の合計は(小学校の夏休みの宿題でした)・・・
1267650600228229401496703205375粒にもなるからです・・。
毎日2粒ずつ足した数を100日もらっても(等差数列)、10000粒にしかなりませんが、毎日倍々していくと(等比数列)、天文学的数字なってしまうのです。
お米1キロは50000粒ほどですが、とすると約25300000000兆トン以上になります。普通の茶碗(2500粒)でご飯を1日一人4、5杯食べるとして、100億人を25兆年養える量です。
ところが等比数列といえども、10日ではまだ1043(512+511)粒、50日でも250万トンほどにしかなりません。これは100億人の1日分少々です。つまり、50日から100日の間に仰天する数になっていくということです。
神の国は等比級数的です。「天の御国は、からし種のようなものです。それを取って、畑に蒔くと、どんな種よりも小さいのですが、生長すると、どの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります」(マタイ13・31、32)というたとえ話をご存知でしょう。最初は目に見えないほどのスタートで、なかなか大きくなっているように見えませんが、ある時期を過ぎると爆発的に成長するということです。その前であきらめてはならないのです。