イスラエルを「ダンからベエル・シェバ」まで回りました。 まず北はバニヤスです。主イエスの時代、ピリポ・カイザイリヤと呼ぼれていました。 ピリポ・カイザイリヤは、イエスが弟子たちに「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか」と、問われたとき、ペテロが「あなたは生ける神の御子キリストです」(マタイ16:16)と答えた場所です。この信仰告白は的を射ており、主はたいそう喜ばれたようです。 「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます」。ペテロをほめられる数少ない場面です。 ペテロとは「岩」という意味ですが、バニヤスには、実際に、巨大な岩山があります。主は、その岩を見上げながら「岩の上にわたしの教会を建てる」と言われたのでしょう。主は、日常からかけ離れた、抽象的な話はなさいません。むしろ、今、目の前に見ているものを指し、視覚に訴えて教えられることが多いのです。 そして、「わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています」と、約束なさいました。「繋ぐ」「解く」は、ミシュナヘブライ語(BC300-AD400)の慣用句で、それぞれ「禁じる」「許可する」を意味します。教会は洗礼、聖餐、結婚など、主の権威を表わす「キリストの体」となりました。 ところで、その岩山の麓には、ヘルモン山の澄み切った雪解け水が豊かに湧き出ており、ヨルダン川の水源の一つになっています。このヨルダン川はガリラヤ湖に注ぎ込み、再びガリラヤ湖から流れ出て、ヨルダン渓谷を潤し、最後に死海に入ります。イスラエル最大の水の供給源です。そのヨルダン川の源流で、「あなたは生ける神の御子キリストです」という告白がなされたのは、「生ける水」「永遠のいのちの水」を飲ませてくださる主イエスにふさわしいと、思わされます。