今回のパンデミックは、今後の世界情勢に大きな影響を残し、歴史的転換の要因になるだろうと、言われます。
その前例として、よく第一次世界大戦(1914~18)のスペイン風邪が引き出されます。この戦争の死者数は、戦闘員と民間合わせて1600万人に上りましたが、1918年にスペインで発生したインフルエンザ(スペイン風邪)で、1700万、あるいは5000万人が死んだとされます。
もはや戦争どころではなくなり、敗戦国となったドイツの首脳の一人は、「我々はアメリカに敗北したのではない。インフルエンザに敗北したのだ」と述べています。
翌1919年、パリ・ベルサイユで講和会議が開かれました。多大な被害を受けた戦勝国フランスのクレマンソー首相は、ドイツに莫大な賠償金を課すことを提案しましたが、アメリカ大統領ウィルソンは反対しました。ところが会議期間中、ウィルソンがスペイン風邪に感染して寝込んでしまい、結局、フランスの要求が通ったのです。その払いきれない賠償金が、戦争とパンデミックで荒廃したドイツ社会と国民に重くのしかかり、それによって生じた社会不安がヒトラーの登場を促すことになりました。そして1939年、第二次大戦が勃発します。スペイン風邪がその遠因になったのです。
パンデミックをもたらすウイルスは、背後で歴史を動かす、目に見えない脇役です。今回のコロナ後の世界も大きく変化することでしょう。どう変化するか予測もなされていますが、予測外のことも起こるでしょう。
しかし、何が起ころうと、その変化の波に翻弄されてはなりません。落ち着いて主に信頼しましょう。すでに、感染拡大で、多くの人々が恐れや自己中心で行動し、混乱を増幅させたのを、私たちは見ています。これから先、私たちの信仰の真価が問われる事態が到来するのだ、と心を引きしめましょう。自分が本当は何に信頼していたのかが、明るみに出されることになります。
主の十字架と復活によって、すでに神の国の勝利は確定しています。歴史を動かす真の主役は聖霊です。聖霊はウイルスさえも神の国の拡大のために利用されます。私たちは勝利者として、その計画に参加していることを忘れてはなりません。