金継ぎの妙

金継ぎというものをご存知でしょうか。割れたり欠けたりした陶器やガラスを、漆や金粉を使って補修する技術です。私は長いこと、金継ぎの技法に興味があり、時々開催される金継ぎ講座などに通って教わりたいと思いつつも、出産や子育てに追われる日々の中、なかなか出来ぬまま何年も経ってしまいました。

そんな中、友人が金継ぎセットを貸してくれたので、娘が落として割ってしまった急須の蓋を直してみることにしました。といっても、実際やったのは殆ど夫で、私はほぼ横で眺めていただけですが・・・。

割れたかけらの側面を電動ヤスリで滑らかにし、漆と小麦粉と木の粉を混ぜたものを塗り、くっつけ乾かす、という作業を数日繰り返します。小麦粉などを混ぜるのは、漆だけだと接着力がないからです。保管時の湿度も大事で、かなり手間のかかるものでした。漆で継ぎ合わせた線の上に、最終的に金粉をまぶし、乾いたら出来上がりです。

仕上がるまでに、1週間以上かかりましたが、生成色の地に渋い金の線が入った急須の蓋は以前より味わいが出て、愛着も増しました。昔、ある陶芸家の方から譲り受けたお気に入りのお茶碗を割ってしまい、接着剤で補修してしまったことを後悔しました。接ぎ目は美しくなく、接着剤の成分が何となく不安で、結局使えないものになったのでした。

 金継ぎは、神様と、まさに土の器である私の関係にも似ている!とふと思いました。人生の汚点に思える罪や過ち、悲しい出来事も、神様に継ぎ合わされ輝き始める。信仰を捨てていた時期の失敗など、「あれさえなければ」と後悔に襲われることもあったのが、神さまに修復され、今はすべて益に変えられたと思えるようになりました。

逆に、この世の楽しみや、一時的な幸福で心の隙間を埋めても、いつか虚しさが襲ってきます。何が起きても、神様が最高のデザインへと変えて下さる人生は、安心しかありません。何と感謝なことでしょうか。

(津山祐子)