教会の屋上で、サヤエンドウを育てています。苗をプランターに植えかえるとき、よく見ると・・・根っこに、数mmサイズの小さなつぶつぶがついている!カッターでその粒を切ってみると、中にはねばっとした液体が入っています。これは、根粒菌(こんりゅうきん)といって、マメ科の植物に住んでいる菌です。
これは、ただの菌ではありません。畑の肥料を作ってくれるスーパー菌なのです!彼らは植物に寄生して何をしているかというと、空気中にある窒素(N2)や、土壌中の窒素(硝酸HNO3など)を取り込んで、アンモニア(NH3)を作り出しています。このアンモニアが、植物の肥料となるのです。休耕田に、シロツメクサなどマメ科のものを意図的に植えておくことがありますが、これは、田んぼを休ませている間に、根粒菌に栄養分を作ってもらうためです。
アンモニアを、人間が工場で作ろうとすると、1000気圧という高気圧、500℃という高温のもとで化学反応させる必要があり、莫大なエネルギーを使います。しかし、これを普通の気圧と温度で、さらっとやってのけるのが、根粒菌です。まさに、小さな巨人です。
しかも、原料は、そのへんに満ち溢れている、窒素です。空気の80%を占める気体。あまり価値のなさそうに見える物質を、価値の塊のようなものに作り変えて、土、植物、人間に良いものを与えてくれます。
ところで、この菌はなぜ、マメ科植物にだけくっついているのか?これは、まだ解明されていない謎のようです。本当に、神さまの造られた世界には知恵があふれていて、人間にはとうてい理解しきれません。しかし、無に等しいものから良いものを作り出すところ、土の中で黙って着々と働いているところなどを見ると、神さまの御手と慈しみが見えて嬉しくなります。「主よ。あなたのみわざはなんと多いことでしょう。あなたはそれらをみな、知恵をもって造っておられます」(詩篇104篇24節)新田優子