「お前のものはオレのもの、オレのものもオレのもの」。
これは国民的人気漫画に登場するガキ大将ジャイアンの名ゼリフです。ファンの間ではこのような自己中心的、強欲な思考をジャイアニズムと呼びます。私は幼い頃からこの漫画が大好きで、お小遣いを貰うと本屋さんへ直行していました。
あるとき、ジャイアンの別のセリフに目が留まりました。それは、「欲しいものは手に入れるのがオレのやりかたさ」。この自己実現を目指す言葉に共感した私は、このページをポスターにして部屋に貼り、そのコピーを友人にも配りました。すると「これぞオレたちの生き方だ」と称賛を得ました。まさにジャイアニズムの如く、強い自我と高慢に溢れて過ごしてきたのです。
ところで、イサクの子ヤコブは、兄エサウとの再会前、主の御使いと格闘しました。欲しいものはなんでも手に入れてやるぜ!とばかりに生きてきたヤコブが、最後にその自我で求めたものは「主の祝福」でした。過去の自分を捨て、新しく変えられたいと主にすがり、そして勝利し、ヤコブの名はイスラエルとなりました。
2コリ5章17節「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました」。
私たちが求めるとき、主は私たちにも耐えられるほどの試練を与えられます。キリストにあって新しく生まれたいという信仰が、主の尽きない憐れみと恵みによって、ジャイアン(自我)を打ち砕き、祝福という勝利に導きます。
あとで知ったのですが、アニメ用に作られた場面で、のび太がなくしたランドセルをジャイアンが必死に探して、のび太に届けた際、「お前のものはオレのものだからな」と言っています。ジャイアンが砕かれ、愛の行いが生まれた瞬間でした。
イエス様は「お前の罪は私のもの」と、十字架で究極の愛を示され、私たちを主のものとしてくださいました。その方を見上げるとき、そうだ「兄弟姉妹や隣人の悩み苦しみは私のものなのだ」と、互いに愛し合いなさいという主の戒めがよぎり、すべてを新しくしてくださる主に感謝が溢れます。 (根本一生)