秋になると、山々が赤に黄色に色づき、美しい光景になります。私たちはこれを、秋の楽しみとして享受しています。
しかし、考えてみれば、なぜ、秋になると葉が赤や黄色になるのでしょうか?別に緑色のまま葉が散ってもよいと思うのですが。このことについて、ひとつの説を知りました。
植物は、葉が落ちる前に、葉緑体(緑色の成分)を分解し、栄養として、枝に回収するそうです。しかし、葉緑体の分解の途中、植物にとって有害な物質、活性酸素を生成してしまいます。その物質は、「青色の」日の光を受けると活性化して、植物の組織を破壊してしまうのです。それで植物は、その組織の破壊を防ぐために、赤色の色素であるアントシアニン、あるいは、黄色の色素であるカロテノイドを生成します。赤色や黄色の色素があると、葉の表面が赤色/黄色になり、青色の光がフィルターされて赤色/黄色になるので、有害物質の働きを阻害してくれるのだそうです。葉が赤や黄になるのは、有害物質が発生しないための、守りなのです。
要するに、赤や黄色になることで、葉が「サングラス」をかけるということです。青色の光が入ると害があるので、違う色になるように葉を守りながら、これまで貯めた養分を取り込み、来るべき次の春に備えるというわけですね。さすが主の造られた世界は、引き際も知恵をもって養分を無駄なく取り込み、しかも見た目にも非常に美しい。
人生にも秋があり、サングラスをかけながらこれまでの養分を吸収する年齢の方々もおられます。あるいは、サングラスの季節の前に、緑の葉で目いっぱい光合成して養分を生産中の方々もいらっしゃいます。しかしそれぞれの兄弟姉妹が、その時に合う、知恵のある美しい生き方を主にあって用意されている、そんなふうに感じました。そして、もし冬がきても、また春が来て芽吹くということが、全ての時期の木にとっても、復活の希望を与えているのではないかと思います。主の造られたものは、私たちにいつも何かを語って励ましています。(新田優子)