昔から検診などで、採血をする度に「貧血」を指摘されている私です。この数年定期的にかかっている婦人科の医師にも、またそれを指摘された上に「こんなに数値が低いのは鉄分が胃や腸から漏れてる可能性がある」とのことで、内視鏡検査を勧められ、初めてその検査を受けることにしました。胃と腸2日分の予約も事前準備もなかなか大変でしたが、迎えた当日。麻酔で意識が飛んでるうちに無事終え、「ポリープがあったので切除しておきました」というサラッとした報告。あまり心配していなかったのですが、「胃や腸から鉄分が漏れる」ということもよくわからなかったので、2週間後の検査結果を聞きに行く前に、ネットで検索してみると、貧血の原因のひとつに大腸ガンがあり、ポリープはガンの始まりであると知りました。心を覆う、灰色の雲のようなうっすらした不安。
検査結果を聞く日、診察室へ入ると、パソコン画面を静かに見つめる医師。「先日切除したポリープ、数ミリの小さなものでしたが、95%の確率でガン化するものでした。早めに取って良かったです。」との言葉。結局、貧血の原因は胃腸にはなかったのですが、なんとも言えぬ安堵と共に、この検査に至るまでの経緯を思い、静かに感謝に溢れました。また、内視鏡で撮った、初めて見る自分の胃と腸。空っぽにしていたせいもありますが、その綺麗さと、細かく張り巡らされた毛細血管などにも感動しきりでした。自分の体の中なのに、普段見ることもできず、どうなってるのかすら全く知らない。けれど、神様はこれら全てを造られ知っておられ、今回予期せぬ方法で悪いものを知らせ、取り除いて下さった…。思ったより早く来るかもしれない「死」や、子どもや夫の今後のことを考えた数日でしたが、「まだ生きなさい」と言われていること、やるべきことがあるのだということを知らされた気がしました。また「小さな悪いものを早めに摘み取る」大切さも…。
後日行った婦人科では、鉄剤を飲んでいたこともあり「心配な数値も上がっている」とのことでした。与えられ、生かされている命だということを実感し、様々な気付きを与えられた今回の出来事は、とても感謝なことでした。(津山祐子)