主イエスの弟子が12人ともパウロのような熱烈な信仰者だったら、キリスト教会はもっと飛躍的に急速に広がったかもしれません。しかし、12の異なる教会、教団に分裂していた可能性もあります。パウロは、第二回宣教旅行に発つとき、使命に不忠実だったマルコの扱いのことで、恩人のバルナバとさえも激しく対立し、別行動を取っているほどだからです。しかし、後年パウロは、賜物や性格や熱情の異なる同労者たちと宣教チームを組んで、それぞれの信仰と賜物に応じた働きを展開させています。パウロ自身、こう言っています。「私たちは、与えられた恵みに従って、異なった賜物を持っているので、もしそれが預言であれば、その信仰に応じて預言しなさい」(ローマ12:6)。
黒澤明の名作『七人の侍』(1954年)は、武士七人が農民たちに雇われ、村を襲う野武士の集団を撃退するというストーリーです。まず農民に腕を見込まれた島田勘兵衛ら三人の浪人武士が中心となって、侍リクルートをします。しかし、島田らは腕っ節の強い武士だけを集めたわけではありません。そのうちのひとり林田平八は、剣は「薪割り流」、「腕は中の下」でしたが愉快な男で、「話していると気持ちが晴れる。長い戦(いくさ)の時は役に立つ」ということで仲間に迎え入れられています。短期決戦を独りで戦うなら、負けるだろう武士です。しかし、仲間の中に入ると、長期の戦いでの様々な場面で、腕っ節だけの侍にはない力を発揮するのです。もうひとり、島田勘兵衛を師と慕うが腕力はない年少の侍も加わります。彼は、生き残って仲間の武勇伝を末長く伝えることが期待されています。それで、戦いで死ぬかもしれない武士たちの士気は高まるのです。
みなさん、神の家族の中で、信仰に応じて自分の役割を果たしてください。それぞれが礼拝を大切にし、日々最低限の祈りと聖書の学びを継続するなら、教会は一致を保ちつつ、自ずから神の国は広がっていきます。その喜びを一緒に味わいましょう。