梅雨の季節になりました。紫陽花(あじさい)が美しく輝く季節です。雨には紫陽花が似合います。紫陽花には雨が似合います。鉛色の空の下、しっとり濡れている清楚な色彩は風情があります。私は子供の頃、ひどい低血圧だったのに、雨の季節が大好きでした(山里での話しですが)。草木が水分を吸って、庭先も野も畑も青々としているからです。そこで雨のお話を。
「神は大いなる事をなして測り知れず、その奇しいみわざは数えきれない。神は地の上に雨を降らし、野の面に水を送る」(ヨブ5:10)。
1キロメートル四方の畑に10ミリの雨が降るには、1万トンもの水が必要になります。1時間に50ミリの大雨となると、5万トンになります。空中の水蒸気がすべて雨となって降るわけではありませんから、空中はそれ以上の水を含んでいます。どうしてそれだけの水が空中に浮いて降ってこないか不思議です。逆にそれだけの水が、ダムの放流のようにドサッと落ちてこないのも不思議です。そんなふうに降れば、土地も人も植物も潰されてしまいます。空中の水の粒子は、互いにぶつかり、くっつき合って、ある程度の重さになれば雨粒になります。一粒が10センチなどと重くなりすぎないうちに落ちてくれます。しとしと、あるいはザーッとちょうどいい具合に降るのです。ゲリラ豪雨といえども、雨に打たれて家が壊れたということはありません。こうして地は穏やかに潤い、生き物を養っているのです。
日本は水の豊かな島国です。四方を海に囲まれていても、降る雨は塩水ではありません。水の粒子だけが海から蒸発し、真水となって降り注ぎます。しかも、季節や地形に合わせてさまざまな降り方をします(それゆえ、日本語には雨の表現がたくさんあり、日本人なら最低10は思いつくでしょう)。創造主の「奇しいみわざは数えきれない」ことを、雨で楽しませてくれる国です。梅雨を恵みの季節として過ごしませんか。