北朝鮮の首都ピョンヤン(平壌)は、かつては東洋のエルサレムと呼ばれました。1907年のリバイバルで、クリスチャンが急増し、多くの教会が誕生したのです。金日成の母・康盤石も、牧師家庭で育ったクリスチャンでした。が、それも今は昔の話です。
北朝鮮の憲法68条には、「公民は信仰の自由を持つ」と明記されていますが、現実には、教会は徹底的に弾圧されています。その迫害下で、クリスチャンたちは地下教会(隠れた集会)で礼拝し、信仰を守り続けているのです。
クリスチャンに対する迫害が残虐を極めるのは、ローマ時代からの宿命です。ヨーロッパ中世のイスラムによる迫害、近代の共産党政府による迫害など、身の毛よだつような拷問が繰り返されてきました。現代の北朝鮮も同様です。
地下教会支援活動を行っていた脱北者キム・チュンソン氏の証言によると、秘密警察(保衛部)は逮捕した信者に、5日間眠らせず丸太で殴り続ける、服を脱がせて冷凍室に閉じ込める、鉄格子に手を縛り付けて、足が床につかないようにして放置する、といった拷問を加えていたそうです。たいていは数日で亡くなります。中国朝鮮族チャン・ムンソクという牧師は秘密警察に拉致され15年の禁固刑、彼と接触のあった3人の信者は、2015年に公開処刑されました。
北朝鮮には、数万とも50万ともいわれる数のクリスチャンがいます。しかも、キム・チュンソン氏は、地下教会の礼拝に出席して、信者の多くが北朝鮮の高級機関で働いている人々だったことに驚いたと報告しています(デイリーNKの情報)。政府機関の中枢にクリスチャンが少なからずいることは希望です。ルーマニアのチャウシェスク独裁政権を市民が倒したとき、弾圧されていたクリスチャンも大きな役割を果たしました。北朝鮮でも、クリスチャンがその解放に重要な働きをすることが期待されています。
ソドムには「正しい人」が10人もいませんでしたが、北朝鮮にはクリスチャンが何万、何十万もいます。北朝鮮のために祈ることは、信仰によるアブラハムの子孫の務めです。