先週の友紀姉の結婚式では多くの感動の涙がありました。霊長類で感情的な涙を流すのは人間だけだそうで、私たちが感謝や喜びで泣くというのはきわめて自然な現象です。日本には、人前で泣くのはみっともないとし、ぐっと涙をおさえるという美学が若干残っているようですが、人間どうも年を取ると涙もろくなります。しかし、それは自然になってきたということでであって、決して恥ずかしいことではないと思います。むしろ、老若男女が喜びの感動で涙を流しているのを見るとほっとさせられます。
悲しみであっても涙することは自然です。主イエスも愛するラザロの死に接し、人前をはばからず涙を流されました(ヨハネ11・35)。人となられた神の子が、人の感情をもって私たちの悲しみを共にして泣いてくださる姿は、やはり慕わしく思わされます。
涙を流すことは、心身の健康に良いことが知られています。花粉症やタマネギで出る涙は異物を流し出す役目を果たします。喜びや悲しみの涙もそれ以上に良い働きをするそうです。
第一に、泣くことは感情を解放し、たまってきたストレスを発散させます。
辛い時や惨めな時は独りで思い切って泣けばいいのです。ペテロはカヤパの館でキリストを三度知らないと言ってしまったあと、外に出て激しく泣きました。おそらく、キリストが復活される日まで何度も泣き、涙を枯らしたことでしょう。しかし、それで復活の日を迎えることができたのです。ユダもキリストを裏切って後悔したとき、「私はなんと罪深く情けない人間だ」と叫んで、ペテロと一緒に涙を流せばよかったのだろうと思います。しかし、泣けずに絶望的な感情を発散できなかったユダは首をくくり死んでしまいました。心の中でおし殺すように泣くより、涙を流し体全体で悲しみを表現してしまう方が、精神の健康にはいいようです。
第二に、泣くことは体内の毒物を排泄させるのだそうです。涙には汗と同じく体内の不純物を流し出します。嬉し涙の時も悲しみの涙の時も、ああ今、体が清くなっているのだと思えばいいのです。健康な人ほど泣きやすく、涙に対し肯定的な態度をとっているという調査結果を出している精神科研究者もいます。
赤ちゃんはよく泣きます。親には大変ですが、まったく泣かない赤ちゃんは病気になるでしょう。また女は男よりもよく泣くのも、女性の寿命が長いことの一因だと考えられています。
(2004-5-24)