「会う、贅沢」。ポスターに書かれたこのことばを見た時、目が釘付けになったことを覚えています。1982年、あるデパートのお中元広告のキャッチコピーで、岩崎俊一さんの作品です。「その人の笑顔を見るために、ご馳走を用意したり、一日がかりで故郷に帰ったり。会うって贅沢。人と人との間の、一番の贅沢」という内容のことばが添えられています。このことばを実感したのは、夫の仕事でアメリカに滞在した時でした。今までの「人間関係」から断ち切られ、言葉の通じない国で不安な中、海を見ました。この海の向こうに母がいる、会いたいな、「おかーさーん」。その叫びを聞いてくださったのは、母ではなく、天の父でした。アメリカで神様とつながることができたのです。神様のもとには、距離があるように感じられても、からだが弱っていても、嵐でも、どんな状況でも会いに行くことができます。(贅沢!)
コロナ禍の中で、「会う、贅沢」の重みを実感している方が多いのではないでしょうか。ネットで会えることは、すごい恵みです。昔はテレビ電話が日常的に使えるようになるなんて、想像もできませんでした。とは言え、やっぱり直接会うことにはかないません。「元気だよ」ということばを何十回聞くよりも、一目会うほうが嬉しくてほっとします。人は人との関係に生きていて、「会いたい」という思いが愛なんですね。会える時間を大切にしたいです。今、うずうずしませんか?コロナから解放されたら、あの人に会いにいく!お饅頭もフルーツも喜ばれるけれど、最高の手土産はみことばです。会えるときまで、みことばをたくわえます。
さて、私たちには将来約束されている贅沢もあります。地上で会えなくなった兄弟姉妹のあの笑顔に、再会することです。そしてイエス様に直にお会いして、ずっと一緒にいることです。
「わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです」(ヨハネ14章3節)。 (渡辺由美子)