米大リーグ・シカゴ・ホワイトソックスの2番打者・井口資仁選手が、シカゴ地元紙『シカゴ・サンタイムズ』で「シカゴの新しい帝王」として賞賛されました。
2番打者というのは、いわばつなぎ役で、自分の打ちたいように打つことができない打順です。1番打者と3、4番打者を生かすために自己犠牲の姿勢が求められます。それゆえ、自分個人の打撃成績を伸ばすことが難しくなります。彼は日本では長距離打者として活躍していた選手ですが、自分が置かれた2番打者という位置を受け入れ、その役割を忠実に果たそうとしてきました。そのプレースタイルが注目され、球団代表のケン・ウイリアムズからも「自分を犠牲にしてでもチームの勝利に貢献できる選手」と高く評価されることになったのです。
自分としては不本意であっても、目立たない位置であっても、自分の置かれたところでその役割を自己犠牲的に果たすという姿勢は、実に聖書的だと思います。パウロはこう言っています。「形造られた者が形造った者に対して、『あなたはなぜ、私をこのようなものにしたのですか』と言えるでしょうか。陶器を作る者は、同じ土のかたまりから、尊いことに用いる器でも、また、つまらないことに用いる器でも作る権利を持っていないのでしょうか」(ローマ9・20、21)。
もし、損な立場、不本意な立場、目立たない立場に置かれたとしても「なぜ、私をこのようなものにしたのですか」と不平を言わず、その役割を地道に忠実に果すならば、新たな祝福の道が開けることでしょう(健康を害するような理不尽な役割は別ですが)。ましてや、それを「喜んで」行うことができれば、主から高い評価をいただけることでしょう。「おおらかな人は肥え(豊かになり)、人を潤す者は自分も潤される」(箴言11・25)のです。