日本の食卓やお寿司のネタに欠かせないサケ。サケは川で生まれ、その後川を下って海に入り、大海を旅してからまた生まれた川に戻って卵を産み、一生を終えます。生まれた川に戻ってくることはサケの遡上と呼ばれ、よく知られている話です(ちなみに、サケは海に下る天然の魚で、サーモンは養殖された魚という違いがあります。)。
しかし、実はこのお話、簡単に聞こえるようでとても壮大なストーリーなのです。
例えば、北海道の川で生まれたサケは、オホーツク海に出た後、なんとアラスカの海まで泳いでいくのだそうです。一生で泳ぐ距離は実に1万キロ以上の超長距離スイマーなのです。
そうして海で3〜4年を過ごし、成長したサケはいよいよ生まれ故郷の川に戻ってきます。世界の海で1万キロ以上泳いできたのに、地図もコンパスも持たずにどうやって生まれ故郷の小さな川に戻ってこられるのか?この不思議は未だ解明されていませんが、故郷の川の匂いを覚えているからではないかというのが有力な説です。
この話を聞いて、放蕩息子の話を思い出すのは私だけではないはずです。はるか遠くに行ってしまい、長い年月が経ち、もう戻ってこないように思えても、体は故郷である神の国の「匂い」を覚えていて、ふと我に返り故郷に戻ろうと思う時が必ずくる。そして、戻ってきた後は、次の世代へと命と祝福を継承していく。サケの遡上は、神の国を思わせる奇跡のようにも見えてきます。
ソロモン王は、「レバノンの杉の木から、石垣に生えるヒソプに至るまでの草木について語り、獣や鳥やはうものや魚についても語った」とあります(Ⅰ列王記4章33節)。 現代は、ソロモンの時代よりも圧倒的に多くの情報に、しかも簡単にアクセスできる時代です。せっかくなので、その利点を活かして自然界の不思議がどういう形で神様の栄光を現しているのか、もっと探究してみたいですね。「獣や鳥やはうものや魚からも神の国を語れる教会」に!