列島を縦断した台風18号のために、京都、滋賀、福井の3府県では「大雨特別警報」が発令されました。「特別警報」とは、「今まで体験したことのないレベルの大雨が予想される」という意味で、要するに「避難せよ」ということです。今まで、ただの「警報」では深刻に受け止めない人が多かったので、最上のランクの勧告・指示が作られ、それがこの台風で、初めて出されたというわけです。しかし、この避難指示や勧告を受けて、実際に避難所に避難した住民はごくわずかでした。避難率1%未満の自治体や、避難者ゼロの避難所もけっこうあったようです。「避難所が分からない」「避難勧告・指示の違いが分からない」などの声も多かったそうですが、それほど住民の意識が低いということです。
東北大震災のときも、津波の警告を受けながら、本気では逃げなかった人たちが少なからずいました。地震とともに直ちに行動を起こして難を逃れた宮城県下の教会の牧師が、「避難して何も起こらなかったら、それでよかったのです。必死で逃げるべきなのです」と力説しておられたのを思い出します。
創世記19章に、主の使いたちがロトにソドムの滅びを予告する場面があります。ロトは、ソドム在住の娘婿たちに「ソドムの町が滅ぼされる」と伝えますが、婿たちは冗談だとしか思えず、逃げようとはしませんでした。ロト自身も逃げるのをためらいました。御使いたちはロトと妻、二人の娘の手をつかんで、無理やり町の外に連れ出してくれました。それは、主の憐れみでした。そして御使いは、「命がけで逃げなさい。後ろを振り返ってはいけない。立ち止まってはならない。山に逃げなさい」と命じたのです。その警告に従った者だけが助かりました。
多くの人が「逃げない」ことに馴染んでいます。何度大災害をニュースで見ても、どんなに強く警告されても、他人事のように逃げないのです。立ち向かっても歯が立たないものからは、とにかく逃げる、と決めておきましょう。「率先避難者」になるのです(地震への備え⑥120624)。